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もしもし、の一秒前
2022
公衆電話、映像/ インタラクティブインスタレーション



「もしもし、の一秒前」 Moments Before “Hello!” 1890年に我が国最初の電話サービスが開始されてから一世紀以上が過ぎた。手動交換に始まり、ダイヤル式固定電話、携帯電話、スマートフォンへと、電話は進化しその形態を変えていくにつれ、その地理的な場所とは関わりなく任意の点と聴覚的に場を共有する脱場所的メディアとして社会の共同体のあり方をも変容させてきた。電話をかける時、人は路上にいようと、電車にいようと、家にいようと、物理的にその場に存在すると共に、意識的にはその電子的な場の中に生きており、旧来の物理的な位置関係に依存した共同体は解体され、全く新しい次元での「隣人」が台頭してきたのである。 本作品では、体験者は複数の映像に映された空間のうちひとつの空間に電話をかけることになる。そして各映像の中で「電話」の位置は少しずつ変えられており、玄関からお茶の間、街灯、個人の部屋など、電話がその発展と共に社会の物理的共同体の中に次第に浸透していくシーンを描く。普段何気なく聞いているコール音は、テレビを見ながらお茶を飲んでいた夫婦を立ち上がらせ、寝ていた女性を起こし、時には誰も出ない電話の向こうで黒猫に電話を偵察させる。私たちは相手が電話に出て初めて誰かと「繋がり」、向こう側の世界と接続したことを体感するが、それ以上に、電話は家族のコミュニティや生活空間の中にある種の暴力性を持って侵入し、空間を変容させているのだ。


制作:岡ともみ/渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所, NTTサービスエボリューション研究所)
機材協力:NTT東日本 千葉事業部
制作協力:福田芳巳(NTTネットワークサービスシステム研究所)

展示  インターコミニュケーションセンター(ICC)
オープンスペース2018 イントランジション
2018.6.2-2019.3.10


 

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